タイラント日記

映画や小説について書きたくなった時だけ書きます

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「なんか、こういうのを見てるとさ、一般の人たちがみんな評論家になっていくみたいで、どの情報を信じたら良いのか、どんどんわからなくなるよね」

 

洋子は急に真面目な話をする。

 

「このまま、日本中の人がホームページを開設したりなんかしたら、もう情報が多過ぎて、結局は役に立たなくなっちゃうんじゃないかしら」

 

「たぶん、そうなるわ」

 

萌絵は言う。

 

「今みたいに一部の人がやっている間は価値があるけれど。だんだん、自分の日記とか、独り言みたいなことまで全部公開されて、つまり、みんながおしゃべり状態で、聴き手がいなくなっちゃうんだよね。価値のある情報より、おしゃべりさんの情報の方が優先されるんだから、しかたがないわ。でも、それはそれで、価値はないんだって初めから割り切れば、面白いんじゃないかしら。そんな気もする」

 

「カラオケみたいなもんね」 

 「幻惑の死と使途」 森博嗣:著 講談社ノベルス 1997年10月発行