タイラント日記

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中年親父無双映画の需要と供給:【ラン・オールナイト】

※以下結末までネタバレを含んでいますので未見の方はお控えください。

 

何て言うんでしょうか。一言で言えば清々しいくらいのデウス・エクス・マキナ。極んでます。映画館で無ければ大声でツッコミいれたいクライマックスでしたが、アクション映画としてはこれが正解なのかもしれません。そういえばこの監督が同じく主演リーアム・ニーソンで撮ってたアンノウン。あれのクライマックスも割とツッコミいれたくなる類いだったので、そういう手法を得意としている監督なのかもしれませんね。

 

考えてみればそもそもこの映画自体が、ハリウッドでNo.1タフガイパパの座を射止めつつあるリーアム・ニーソンの親父無双を観て、余計なことを考えずにスッキリしたいという層をメインターゲットとしてるんでしょうし、ごてごてした設定などは余計で不要と割り切ってるのかもしれません。それならそれで有りかもしれませんよね。いや、知りませんけども。

 

キャラクターに関しては…うーん。いや、分かってます。アル中で手元足下のおぼつかないよろよろ中年から、いきなりハイパー殺し屋パパへ変身しちゃうのにツッコむのは野暮ってもんです。しかしさすがにエド・ハリスの無駄遣い感にはツッコませて頂きたい。半端ない。全米No.1で大都市で利権渦巻くNYを仕切り、その権力は当然警察にも及び、無法な移民マフィアすらも話を通したがる老舗マフィアのボス。でもドラッグは扱わないし、本拠地は趣のあるこじんまりしたパブだし、幹部とボディーガード含めても6~7人?程度しか出てこないし、覚醒した父ちゃんはあっさり全員射殺してボス対決に勝利。これはさすがに…ねえ? なんでしょう、色々としがらみあったんですかね。

 

あと息子は成長期思春期においてかなり苦労はしたんだろうし、人として信頼できないとか尊敬できないとか色々あるのを斟酌しても、あの息子の恩知らずっぷりが半端ないw なんですかあの態度はw 過去に苦しめられた描写が殆ど無い為、単なる不義理な男にしか見えなかったのはどうなのかな、と。あまりの不義理っぷりに観客が心情的に親父を応援する気持ちが強くなるので、好意的に考えればそれを狙ったのかもしれませんね。いや、ないな。ないない。

 

とりあえずグダグダ言ってますが、何も考えずに観たら普通に面白いアクション映画だと思いますよ。せっかくのNYが舞台にしてるのにあまりNY感がないのももったいない気はしましたが。MSGとレンジャーズぐらいでしたかね。そこでレンジャーズをチョイスしたセンスは渋い。VC。